photography

『N』

視界に映る人々の名前を私は知らない。

彼らもまた私の名前を知らない。

世界にとって私はただの自然数でしかない。

ただの『N』でしかない。

それなら、私は誰なんだろう。

私は自分を探す旅に出た。

世界は色がなく、モノクロが続いていた。

モノクロの世界でも花を見つけた。

そっか。

そういうことだったんだ。

この世界は初めから色で溢れていたんだ。

誰かに必要とした時。

誰かに必要とされた時。

私たちは『N』ではなくなるんだ。

今、私の目の前には色が溢れて居る。

今日は記念日だ。

今日も私は私であり続ける。

もしもあなたがあなたを見失ってしまったら

あなたの周りには色が溢れていることを

どうか思い出して下さい。

あなたは『    』だ。